第16回京都大学タンザニアPWS・FSセミナー

ウガラ地域の哺乳類:ブッシュハイラックスの生態


日時
2016年11月26日(土)午後2時半~5時

会場
ダルエスサラーム日本語補習校

講師
飯田恵理子:京都大学アジア・アフリカ地域研究科、学術振興会特別研究員(PD)

要旨

ハイラックスは、1科3属からなるイワダヌキ目(Hyracoidea)に属する哺乳類である。姿かたちはリスやウサギのような齧歯目に似ているが、実はゾウ目やジュゴン目に近い仲間という不思議な生き物だ。タンザニアにも広く生息しているが、あまり知られていない動物なのではないか。


アフリカ獣類の一員である小型の草食動物のブッシュハイラックス(Heterohyrax brucei)は、多くの地域において重要な被食動物となっている。彼らはアフリカ大陸に広範囲に分布しており、哺乳類の進化や地域生態系を理解する上で重要な種であると考えられるが、その生態や行動についてはほとんど解明されていない。同種は東アフリカにおいて、乾燥したサヴァンナから湿潤な森林まで多様な植生環境に分布している。しかし、数少ない先行研究のほとんどが、コピ(kopje)と呼ばれる特殊な岩丘環境で行われてきた。そこで本研究は、これまでブッシュハイラックスにとって重要な生息要因であるとされてきたコピが存在しない環境に注目し、西部タンザニア・ウガラ地域において、ブッシュハイラックスの行動と生態を明らかにすることを目的とした。