カリキュラム・ポリシー

課程を通じて修得すべき知識・能力

霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院(略称PWS)が、そのプログラムを通じて修得すべき知識・能力について以下に定める。本プログラムの憲章をもとに要請されるカリキュラムは、フィールドワークすなわち野外研究にもとづく実体験を重視した知識・技術・価値の習得であり、国際的な視野に立って協力・共同できる能力の涵養である。具体的には、①フィールドワークの実習・実践、②国際連携機関との交流・研修、③国内実験施設での実習・実践、そして④研究のための知識、情報収集技術、情報発信力の育成、およびコミュニケーションツールとしての多言語習得である。

第1のフィールドワーク実習では、京大が保有する国内の野外実習拠点を活用する。天然記念物の幸島での野生ニホンザルの生態観察、世界自然遺産の屋久島でのヤクザルとシカの共存する森での野外研究などからなるカリキュラムを用意しており、修士課程相当の学生はこれらを履修する必要がある。

第2の国際連携機関との交流・研修については主として2年次以降の学生を対象とする。野生動物研究センター等が築いて来た国内外の教育研究調査地を中継基地として実習を実践する。

第3の、国内実験施設での実習・実践として、京大が保有する熊本サンクチュアリなどの研究施設や京都市動物園などの連携する動物園・水族館等を活用する。こころ・からだ・くらし・ゲノムの広い視野から人間とそれ以外の動物の関係を学ぶ。

第4の、研究のための知識、情報収集技術、情報発信力の育成、および、コミュニケーションツールとしての多言語習得については、講義・実習形式で習得する。各年次でPWSが主催するセミナーの履修を必修とする。なお、多言語習得に関しては、英語を含む3か国語の習得を推奨する。絶滅の危機にあり、CITESいわゆるワシントン条約において、付属書ⅠないしⅡに分類されている動物は世界の各地におり、その保全のために国際連携は必須である。そのためには多言語で自由にやりとりできる能力が不可欠と考える。ただし、博物館、動物園の職員などめざすキャリアに合わせた柔軟なものとする。なお手法としては、多様な外国人協力者との日常的なやりとりの中から実践的に学ぶマンツーマン教育を基本とした多言語習得プログラムを用意している。

以上の4つの柱に基づく活動についての学修成果は、HQと称する事業の核となる分担者を中心に、履修生の在籍研究科の指導教員およびPWS指導教員によって構成される「PWS研究指導審査会」において、ディプロマポリシーに則り年次評価する。具体的には、実習等のあとに提出するレポート、PWSが主催するシンポジウムもしくはセミナー等での英語発表内容に基づく平常点で評価する。評価は優・良・不可(SAC)の3段階でおこない、良以上の成績を修めることを要件とする。

平成26年3月14日協議員会承認 
平成31年1月11日改訂・認定
令和4年6月16日改訂・協議員会承認